朝、薄目でベッドから起き上がった男。
眼の周りに貼ったガードを剥がし、点眼する。
「ああ、やっぱり目薬点すとすっきりするわ」
眼に痛みはほとんど無い。
少し違和感があるような?程度、昨日のカウンセリングによればこれも数日で収まるとの事だ。
顔を洗えない(眼に水が入る)ので、濡れタオルで顔を拭く。
もちろん頭も洗えないので、これまた濡れタオル&ドライヤーで誤魔化す。
身なりを整え、ホテルをチェックアウトして、喫茶店で朝飯をとる男。
眼を疲れさせないため、本や新聞も読むことができない。手持ちぶたさ感は否めず、時間つぶしに頻繁に点眼する。
さて、今日は「翌日検診」だ。
手術したのとはまた違う建物の病院に行かねばならない。
予約時間に合わせて受付へ。程なく検査となる。
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まずは定番の視力検査。但し今回は本当に「健康診断の視力検査」程度の軽いものだった。
その後、ドクターによる診断。
「手術経過良好」との結果にほっとする。
男が驚いたのは、聞かされた先ほどの視力検査の結果が「視力2.0」だった事だった。
なにしろこれまでは0.1だったのだ。「どおりで遠くがよく見えるはずだわ……」
ドクターの説明によれば「手術の結果、今後老眼(遠視)になる時期が早まる可能性もある」との事だった。
「近眼が治ったのだから仕方無いな。それにいずれ老眼になるのは避けられないんだし」
男はそう考えた。
手術時にも受けたこの先1週間の生活での注意点は以下の通りだ。
・1日5回(3種類)の点眼
・飲み薬(化膿止め)を毎食後
・夜は眼にガードテープを貼る
・眼をこする、衝撃を与える事厳禁
・眼に水が入らなければ、風呂・シャワーはOK
・激しい運動禁止
・アルコール禁止
これらを再確認され、診察は終了となった。
1週間後、もう一度検診が必要なのだが、これは地元の眼科でも受けられるらしい。
自宅近辺で実績のある眼科をいくつか紹介され、カルテを受け取る。
当日これを持って行けば良いとの事だった。
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男は病院を出た。
保護眼鏡はもう必要なかった。
ぱしぱしと瞬きをし、あらためて周囲の景色を眺める男。
「むー、それにしても良く見えるなぁ……」
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