見直しの初めは食生活だ。
今摂っているカロリーの総量を改めてチェックしなおしたが、特に大きな問題なさそうだった。
現在の1日の摂取カロリーが2,000kcal前後なのは間違いない。男の基礎・生活代謝量なら充分にダイエットの範囲内といえるだろう。
そしてそれができているからこそ、体重が減ったのだろう。
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バランス的にも特に問題はなさそうだ。
朝はこれまでどおりでOK。
昼は相変わらず外食だが、油物をさけ、極力野菜を摂るようにしている。
和食中心にシフトしつつある点を含め、昼食でこれ以上何かをすることは難しそうだった。
改善できるとすれば、やはり夜の食事だろうか。
既に夕食は「できるだけ外食をやめ、自宅へ戻ってから食べる。しかも早い時間に軽く」を実践していた男、これをさらに押しすすめる事にした。
男が減らしたいのは脂肪、減らしたくないのは筋肉。
そしてその筋肉を維持するために必要な栄養素は、なんと言ってもタンパク質だった。
男は考えた。
「摂取カロリーを抑えつつ、よりタンパク質の比率を大きくするにはどうしたら良いだろう?」
タンパク質といえば思いつくのは肉だ。
しかし、普通に肉を食べると総カロリーの上昇と脂質の取りすぎが心配になる。
高タンパクで、しかも低カロリーな食事。
調べて見つかったのが大豆食品だった。
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タンパク質には動物性と植物性があった。
動物性の代表格としては肉や牛乳、そして植物性が大豆だった。
加工品で言うと豆腐や納豆がこれに該当する。
動物性と植物性の違いはいろいろとあるが、栄養的にはさほどの差は無いらしい。
「よし、これからの夕食は大豆メニューだ!」
男は夕食に米(ご飯)を食べる事をやめ、豆腐や納豆をメインに据えた。
ありがたいことに、大豆製品は財布にもやさしかった。
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あらためて食べてみると、豆腐はとても旨かった。
作りたて・買いたての豆腐は、僅かな豆の香りが食欲をそそった。
そして高級な有名品より、普通の木綿豆腐の方が男の口には合うようだった。
- 木綿豆腐を1丁、押して軽く水切りにする。
上には、ネギのみじん切りと下ろしたショウガ。
醤油は濃い口。気分でポン酢も使ってみる。
豆腐はカロリーの割に食べ応えがあり、腹をしっかりと満足させてくれた。
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納豆に関し、当初「ご飯無しで食べるなんて!」と思った男。だが納豆はそんなにヤワではなかった。
素のままでも美味しかったし、一手間加えると毎に旨さが上がった。
- 卵黄
海苔
ネギ
ジャコや鰹節を入れても旨いことに男は気づかされた。
納豆にも様々な種類があった。
粒の大きさや柔らかさの違いだけでも味は大きく変った。
「さすが昔からある栄養食品だな」
男は、ネットで勧められていたとおり糸が真っ白になるまで納豆をかき混ぜながら関心した。
TV番組の影響で納豆ダイエットが一時的なブームとなるのはもう少し先のことだった。
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豆腐や納豆以外にも、夕食にはいろいろと工夫を加えてみた。
おかず的には、野菜でも芋やカボチャのような根菜は避けるようにした。
これらは栄養的には炭水化物に分類されるからである。
野菜は葉物を積極的に摂った。
サラダのドレッシングはカロリー低めのものをチョイスし、マヨネーズは厳禁とした。
自宅での飲酒は基本的にやめた。
ビールが恋しい時期ではあったが、仕事上のつきあいで外で飲む時だけに限定した。
食事、酒共に特に「我慢している」という気はしなかったが、やはり腹が減りビールが飲みたくなる夜もあった。
そんな時はウーロン茶を飲んで誤魔化した。
温かいウーロン茶は、空腹を紛らわせるのに良いようだった。
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