この視力回復手術、一般的には「レーシック」と呼ばれるらしい。
対応する病院は数多かったが、男が選んだのは、自宅からはかなり距離のある東京の病院だった。
受けるなら実績のある所に越した事はないと考えたからだ。
早速インターネットから検査の申し込みをする。
手術には事前検査が必要になる。
今の視力の測定もだが、眼の状態を詳細にチェックする必要があるのだそうだ。
そして検査の結果によっては、相応の確率でこの手術を受けられない人もいるらしい。
コンタクトのように単純にはいかないのだなと男は思う。
-
申し込み後、男は電話で簡単なカウンセリングを受けた。
現在、ソフトコンタクトレンズを使っている事を話すと、「検査までは眼鏡で過ごしてください」と言われた。
なんでもコンタクトレンズを付けていると「それ用の眼」になってしまい、検査がうまくできないのだそうだ。
ソフトレンズなら最低1週間、ハードならもっと前から外す必要があるらしい。
これまた単純にはいかないのだなと男は思う。
仕事のスケジュールをあれこれと鑑み、実際の検査は2週間後となった。
-
検査当日。男はどきどきしながら東京の病院へと向かった。
到着した場所はビルの1フロア。明るい色の壁と天井、広い待合室。
病院というよりは「検査室」といった雰囲気だろうか。
待合室には結構な数の人がいる。これが全て検査を受ける人なのだろうか?
検査はもちろん全て予約制。予約時間毎にこれだけの人数がいるとすれば、1日ではかなりの人数が検査を受けることになる。
視力回復手術がこれほどメジャーだと思っていなかった男は驚いた。
-
手続き後、いよいよ検査となる。
検査の内容は、いわゆる「眼科医の視力検査」の詳細な奴といえないこともなかった。
お馴染みの「C」の形を判別する視力検査に始まり、多数の機器を使った検査を行う。
コンタクトレンズを作った時に経験済みのものあるし、まったく初めてのものもある。
かかった時間はトータルでたっぷり1時間。
眼に関してだけなのに、よくこれだけ調べる事があるものだと男は思った。
最後はドクターによる診察。
あらためて眼をチェックしてもらい、これまでの検査結果を検討してもらった結果は、「手術を受けるのに問題なし」
「ふぅ、お墨付きがもらえたか」男はほっとした。
不思議なもので、ここまでくると「検査だけで済まそうか・・・」という気はなくなっていた。
受付へと戻り、あらためて手術の予約を行う。
これまた仕事のスケジュールを鑑み、手術は2週間後となった。
帰り道、冷静になった男の頭の中えは、また恐怖感が頭をもたげつつあった。
ー
コメント